VANSON(バンソン)の革ジャンといえば、バイク向けの本格的なライディングジャケットを思い浮かべる人が多いかもしれません。しかし、VANSONにはモーターサイクルだけでなく、アメリカンカジュアルやストリートファッションの文脈で知られてきたモデルもあります。その代表格のひとつが「TJ」です。
この記事では、VANSONのTJ(Team Jacket)について、現在の公式モデルで確認できる仕様と実寸、兼妹モデルとの違い、そして日本での人気の背景を整理します。
この記事の要点
- TJは「Team Jacket」の略。公式では品番「TJ BLK」、VANSON版のアメリカン・チームジャケットとして今も受注生産されている
- 革は厚さ1.4mm(3.50〜3.75オンス)のコンペティションウェイト牛革。ラグラン袖とウールニットの襟・袖口・裾が特徴
- ロゴ入りのTJV、レーシングパッチのTJP、シャツ襟のTJCなど兼妹モデルがある
- 日本では1980年代末の渋カジブームで、渋谷のアメカジ店を中心に人気を集めた
VANSONとは?
VANSON LEATHERSは、1974年に始まったアメリカのレザージャケットブランドです。公式サイトの「About us」によると、歩みは次のとおりです。
- 1974年:マイク・ヴァン・デル・スリーセンとジェームズ・グッドソンがボストンで創業。社名は2人の名字(van der Sleesen+Goodson)から
- 1979年:デイトナ200の優勝者デイル・シングルトンのレーシングレザーを製作し、レースの世界で名を上げる
- 現在:マサチューセッツ州フォールリバーの工房で、一着ずつ手で縫い、番号を付けて作る。少量の特注やカスタムオーダーが中心
レース用の服から始まったブランドが、カジュアルなチームジャケットにも「コンペティションウェイト」の厚い牛革を使っている。そこにTJの面白さがあります。同じVANSONの英国風モデルはVANSON TTで紹介しています。
現在の公式サイトでも、TJは「カジュアル・ストリート向けのラグラン袖レザージャケットのオリジナル」として紹介されており、バイク用ジャケットとは少し違った、カジュアル・ストリート寄りの位置づけが確認できます。公式ページの表記は「Team Jacket Design No. 1」。チームジャケット系の原点という扱いです。
TJとは「Team Jacket」のこと
TJは「Team Jacket」の略称として知られるモデルです。VANSON公式のTJ BLKは、ラグランスリーブ、ニットの襟・袖口・裾、フロントジッパーという特徴を持つチームジャケットとして現在も展開されています。
日本では、1980年代末以降に広がった渋カジ・アメカジの流れの中でVANSONのTJが注目されたことが、当時を知る関係者への取材でも語られています。Dig-itの記事では、TJを「チームジャケットの略」と説明し、初期にはロゴを革にプリントした仕様があり、その後刺繍パッチへ変化したことも紹介されています。
同じ記事によると、渋カジが流行り始めた1980年代末、VANSONの中で最初に飛ぶように売れたのがTJだったといいます。渋谷のアメカジ店「バックドロップ」や、原宿の姉妹店「プロペラ」で人気を集め、当時のVANSONは平均して10万円に届かない価格帯だったと紹介されています。ブームの中心は1980年代末から1990年代半ばごろです。
VANSON TJのディテール
現在の公式モデルを基準にすると、TJには次のような特徴があります。
- ラグランスリーブ:首元から脇へ斜めに切り替えた袖で、腕を前に出しやすい
- ウールニットの襟・袖口・ウエスト
- フロントジッパー:真鍮製
- 真鍮製の金具
- フロントのハンドポケット:口が開いたままのタイプが2つ
- 内側のポケット:ウォレット用が2つ
- 黒のレーヨンライニング
- Competition Weightのカウハイド:公式表記で厚さ1.4mm(3.50〜3.75オンス)。黒は「Black Revolution」という名前の革
- ストリームライナー用のスナップ:別売りの中綿入りベストを中に取り付けられる
- ユニットナンバー入りのキーホルダーが付属
特に印象的なのは、ライダースジャケットとは異なるラグランスリーブとリブ使いです。ウエストまでリブでまとめることで、一般的なダブルライダースとは違ったスポーティーなシルエットになります。ニットやポケットの作りについては革ジャンのディテールを見るも参考にしてください。
公式の実寸(サイズ42)
公式ページには、サイズ42を例にした実寸が載っています。インチ表記をセンチに直すと次のとおりです(小数点以下は四捨五入)。
| 部位 | 公式表記 | センチ換算 |
|---|---|---|
| 胸まわり(一周) | 50インチ(ゆとり8インチ) | 約127cm |
| 背中の丈(ニット込み) | 25インチ | 約64cm |
| 前の丈 | 21.5インチ | 約55cm |
| 裾まわり | 広げて45インチ/ニットで縮めて約36インチ | 約114cm/約91cm |
| 首の付け根〜手首 | 34.5インチ(革の袖先まで)+ニット約2インチ | 約88cm+約5cm |
公式では、着丈はパンツのベルトラインの上か、少し下に来る想定です。背中の丈と前の丈は測り始める位置が違うので、手持ちの服と比べるときは、どこから測った数字かを揃えてください。
TJとTJV・TJPなどの違い
VANSONのチームジャケット系には、TJだけでなくTJVやTJPなど複数のモデルがあります。現在の公式ラインアップでは、TJVは「LOGO TEAM JACKET」としてVANSON Ovalsを配したモデル、TJPはレーシングチームジャケットとして展開されています。公式ページで確認できた仕様を並べました。
| 品番 | 公式の名前 | TJとのおもな違い | 公式価格(執筆時) |
|---|---|---|---|
| TJ | TEAM JACKET | 基本形。全体が黒の牛革、ラグラン袖 | 629ドル |
| TJV | LOGO TEAM JACKET | 右胸と左袖に刺繍のVANSON Ovals。袖とポケットの縁が赤い革 | 619ドル |
| TJP | RACE TEAM JACKET | TJVの要素に、レーシングのパッチを複数縫い付け。内ポケットはボタン留め | 659ドル |
| TJC | STADIUM TEAM JACKET | ラグランではなくセットイン袖。革のシャツ襟 | 639ドル |
TJPのパッチは、公式ページでも「写真と異なる場合がある」と書かれています。中古でTJPを見るとき、パッチの種類や配置が個体ごとに違うのは不自然なことではありません。また、下の写真のように、色や着丈を変えた別注の個体も存在します。
そのため、中古市場で「TJ」と呼ばれている個体を見る場合は、タグやパッチ、袖の仕様、襟やリブの形などを一緒に確認すると、モデルの違いを整理しやすくなります。






なぜTJは革ジャン好きに面白いのか
TJの面白さは、モーターサイクルブランドとしてのVANSONと、アメカジ・ストリートファッションとしてのVANSONの両方を見ることができる点です。
シングルやダブルのライダースとは違い、チームジャケット型はスポーティーな雰囲気を持ちながら、デニムやワークパンツなどにも合わせやすいのが特徴です。古着や中古品を見るときも、モデル名だけでなく、年代を感じさせるタグやパッチ、ディテールまで見ると楽しみが広がります。たとえばロゴが革へのプリントか刺繍パッチかは、渋カジ期の中でも時期を考える手掛かりになります。
バイク用の革を使っているので、一般的なファッション向けのレザーブルゾンより重く、最初は硬めです。そのぶん、長く着ていくと袖や胸に自分の着癖が刻まれていきます。公式ページでは、30年以上前の服の修理も日常的に受けていると紹介されています。
YouTubeでTJを詳しく解説
VANSON TJについて、歴史やディテールを実物を見ながら詳しく解説しています。
TJのラグラン袖は、肩幅以外でもサイズを判断する
VANSON公式のTeam Jacketはラグラン袖を採用しています。一般的な肩の縫い目から測る肩幅では、セットイン袖の革ジャンと単純に比較できません。販売店に採寸方法を確認し、身幅・着丈とあわせて袖まわりを判断しましょう。
袖丈の表記が脇下からなのか、首元からの裄丈なのかを区別します。同じ数値でも測り始める位置が違うと比較になりません。公式の実寸も「首の付け根から手首」で表記されているので、手持ちの服も同じ方法で測ることが重要です。
中古品は革だけでなく、襟・袖口・裾のニットの伸びや穴も点検します。前を閉じて座ったときに裾がずり上がりすぎないか、袖口が手首に収まるかを確認すると、スポーティな形を日常で使いやすいサイズに絞れます。
よくある質問
Q. TJは今でも新品で買えますか?
執筆時点では、VANSON公式サイトにTJ BLKが受注生産の商品として載っています(629ドル)。本国から取り寄せる場合は、送料や関税もかかる点に注意してください。
Q. 中に厚着できますか?
公式のサイズ42は胸まわりに8インチ(約20cm)のゆとりをとった設計です。また、中に「ストリームライナー」という別売りの中綿ベストをスナップで取り付けられるのも特徴です。ニットで裾と袖口が絞られるので、風が入りにくい作りです。
Q. ニットが傷んだら直せますか?
リブの交換は一般的な修理で、VANSON本国にも修理の窓口があります。国内で直す場合は革ジャン修理の専門店まとめを参考にしてください。元と同じ色や編みのニットが手に入るかどうかは、事前に確認しておくと安心です。
まとめ
VANSONのTJは、Team Jacketをルーツとするチームジャケット型の革ジャンです。ラグランスリーブ、ニットの襟・袖口・裾、Competition Weightのカウハイドなど、ライダースとは異なる個性的なディテールを持っています。
また、日本のアメカジ・渋カジの歴史を振り返るうえでも興味深いモデルです。今後、VANSONの他モデルや年代違いを見ていくと、TJをさらに深く理解できるようになります。
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参考:VANSON LEATHERS 公式「TEAM JACKET」 公式「LOGO TEAM JACKET(TJV)」 公式「RACE TEAM JACKET(TJP)」 公式「STADIUM TEAM JACKET(TJC)」 Dig-it「渋谷発 革ジャン青春物語。」

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