革ジャンの革の種類を徹底解説|シープスキン・ホースハイド・ステアハイドの違い

Schott 217USのワンスター肩章の実物写真

▶ 革ジャンの実物は動画でも紹介しています。YouTube「LEATHER ARCHIVE」を見る

この記事は革の種類の基本編です。厚みや重さをブランド公式の数字で比べたい方は革の厚みと重さ|ブランド公式の数字で比較へ。

革ジャンを選ぶとき、デザインやブランドと同じくらい重要なのが「どんな革が使われているか」です。同じ形のジャケットでも、革の種類によって手触り、重さ、着心地、シワの入り方、経年変化は大きく変わります。

ここでは、革ジャンでよく使われるシープスキン、ホースハイド、ステアハイドを中心に、それぞれの特徴を整理します。あわせて、なぜ動物によって革の性格が違うのかを、日本タンナーズ協会や東京都立皮革技術センターの資料をもとに説明します。

この記事の要点

  • 革の性格は、動物ごとのコラーゲン繊維の太さと絡み方で大きく変わる
  • ステアは「幼いうちに去勢し、2年以上育てた雄牛」。牛革は年齢と性別で呼び名が変わる
  • 羊革は軽く柔らかいが、擦れや水には牛・馬より気を使う
  • 馬革は繊維が短く、独特のシワや風合いの変化が出るとされる
  • 同じ素材名でも、厚み・なめし・仕上げで着心地はかなり違う
革の断面構造(イメージ)
革の断面構造(イメージ)
関連動画:ステア・カウ・シープ・ホースを実物で比較(Schott ONE STAR)

動物によって革の性格が違う理由

革になるのは、皮の「真皮」という層です。日本タンナーズ協会によると、真皮はコラーゲン繊維が密に絡む表側の「乳頭層」(その表面が銀面)と、太い繊維の束がゆるやかに絡む内側の「網状層」に分かれます。東京都立皮革技術センターは、革の強さは繊維の太さと絡み具合で決まると説明しています。

つまり、動物の種類や年齢によって繊維の太さ・密度・層の割合が違うことが、革の重さ、強さ、柔らかさの違いになります。また、1頭の中でも部位によって差があり、腹の部分(ベリー)は繊維が粗く弱いとされています。

大きさによる呼び分けもあります。成牛や馬のように大きく厚い皮を「ハイド」、子牛や羊のように軽く薄い皮を「スキン」と呼びます。「ステアハイド」「シープスキン」という名前には、この区別が表れています。

シープスキン(羊革)

シープスキンは、羊の革です。一般に牛革や馬革と比べて軽く、柔らかく、しなやかなものが多いのが特徴です。

  • 軽く、柔らかな着心地
  • 身体になじみやすい
  • 表面がきめ細かく、滑らかなものが多い
  • 厚みや仕上げによって印象が大きく変わる

羊にも種類があります。日本タンナーズ協会によると、毛がまっすぐな「ヘアシープ」は強度に優れ、毛が縮れた「ウールシープ」は軽く柔らかい一方、強度は低めです。生後12か月までの子羊は「ラム」と呼ばれ、高級衣料などに使われます。東京都立皮革技術センターは、ウールシープは層どうしのつながりが弱く脂肪がたまりやすいため、脂肪を除いたあとに二層にはがれやすいことがあると説明しています。

ルイスレザーは自社の羊革について、牛革や馬革より柔らかいが擦れへの強さは劣り、日光や雨で色あせしたり水を吸ったりしやすいと書いています。その一方で、ほとんどなじませる必要がなく、普段着に向いているともしています。

柔らかな革が好きな人や、重厚さよりも着やすさを重視する人にとって、シープスキンは注目したい素材です。

ホースハイド(馬革)

ホースハイドは馬の革です。革の部位や仕上げによって性質は変わりますが、革ジャンでは独特の張りや光沢、シワの表情を楽しめる素材として知られています。

ホースハイドの質感
ホースハイドの質感
  • 独特の張りや質感を持つものがある
  • 着用によってシワや艶の変化を楽しめる
  • 仕上げによって印象が大きく異なる
  • ヴィンテージ系の革ジャンでも見かける

日本タンナーズ協会は、馬の皮を「薄くて大判、組織は粗めで柔らかい」と説明しています。馬のお尻の部分には「コードバン層」と呼ばれる非常に緻密な層があり、ここを磨き上げたものが靴やベルトに使われるコードバンです。革ジャンに使われるのは主にそれ以外の部分です。

ルイスレザーは、馬革は繊維が短いため独特のパティナ(風合いの変化)が出、着込むうちに細かいシボとシワが現れると説明しています。また、定期的な手入れをすすめています。

ステアハイド(成牛革)

ステアハイドは去勢された雄牛の革です。日本タンナーズ協会の定義では、生後3〜6か月以内に去勢し、2年以上育った雄の成牛を指し、牛革の中で最も多く使われています。比較的厚みと強度を持たせやすく、革ジャンにも幅広く使われています。

  • しっかりした厚みの革に仕上げられることが多い
  • 耐久性を重視した革ジャンに使われる
  • 着込むことでシワや艶などの変化が出る
  • 厚みや鞣し、仕上げによって着心地が大きく変わる

牛革は年齢と性別で呼び名が変わります。革ジャンの商品名でよく見る「カウハイド」と「ステアハイド」の違いも、この表で確認できます。

呼び名どんな牛か革の特徴
カーフ生後約6か月までの子牛最も薄く、きめが最も細かい
キップ生後約6か月〜2年カーフに次ぐ上質さ
カウ生後2年以上の雌牛ステアより柔らかく、カーフ・キップより厚く丈夫
ステア生後3〜6か月以内に去勢し、2年以上育った雄牛最も多く使われる牛革
ブル生後3年以上の去勢していない雄牛大型できめは粗い。頭・首・肩が特に厚い
日本タンナーズ協会「原皮の種類と用途」をもとに作成

もうひとつの定番、ゴートスキン(山羊革)

この記事の3種類ではありませんが、山羊革も革ジャンでよく使われます。日本タンナーズ協会によると、山羊革は羊より繊維が充実して強く、表面に独特の凹凸があり、摩耗に強いのが特徴です。ラングリッツでは生産の半分以上が山羊革で、牛革より薄くしなやかなのに丈夫で水に強く、初めて着たときからなじむと説明されています。

3種類の違いを簡単に整理

革の種類一般的な特徴着心地・印象
シープスキン軽く柔らかいものが多いしなやかで着やすい
ホースハイド張りや独特の表情を持つものがある革らしい変化を楽しみやすい
ステアハイド厚みと強度を持たせやすいしっかりした着用感

もう少し詳しく、ブランド公式の説明も交えて比べると次のようになります。

比べる点シープスキンホースハイドステアハイド
繊維の特徴ウール系は層のつながりが弱い組織は粗めで柔らかい。繊維が短い厚みと強度を出しやすい
なじみの速さ速い中くらい遅め(数か月かかる例も)
擦れへの強さ牛・馬より劣る普通〜強い強い
水・日光色あせや吸水に注意仕上げ次第仕上げ次第
向いている人軽さ・柔らかさ重視、街着中心シワや光沢の変化を楽しみたい丈夫さ重視、バイクにも乗る
日本タンナーズ協会、東京都立皮革技術センター、Lewis Leathers・Langlitz Leathers公式の説明をもとに作成。個々の製品では異なることがあります。

革の種類だけでは判断できない

ここで注意したいのは、「シープだから柔らかい」「馬だから硬い」というように、革の種類だけで性質を決めつけられないことです。革の厚み、部位、鞣し、染色、仕上げ、加工方法によって、同じ種類の革でもかなり違った表情になります。

革ジャンを見るときは、革の種類と一緒に、実際の厚みや手触り、柔らかさ、表面の仕上げまで確認することが大切です。なめしの違いは革ジャンの「なめし」とは?で詳しく解説しています。

革の仕上げによるオイルの入り方の違い
革の仕上げによるオイルの入り方の違い

牛・馬・羊の名称と、製品の仕様を一緒に確認する

素材名は選び方の入口ですが、動物の種類だけで厚み・重さ・柔らかさが確定するわけではありません。Lewis Leathersの素材選択案内のように、メーカーが示す具体的な仕様と一緒に読むことが大切です。

販売説明で情報が足りない場合は、革の種類、仕上げ、裏地、製品重量が分かるかを問い合わせます。数値のない硬さの説明は、同じ販売店が扱う別モデルとの比較を聞くと、感覚の差を埋めやすくなります。

初めて選ぶ場合は「育てがい」だけでなく、日常で無理なく着られるかも判断基準にしてください。腕を曲げる、座る、前を閉じる動作で負担を感じる箇所を確認し、素材の好みと実際の着用頻度を両立させましょう。

よくある質問

Q. 初めての革ジャンなら、どの革がいいですか?

着る場面で選ぶのが近道です。街着中心で軽さを重視するなら羊革や山羊革、バイクにも乗るなら牛革や馬革が候補になります。ルイスレザー日本公式も、バイクに乗るなら牛革か馬革をすすめています。詳しい選び方は革ジャン初心者が最初に選ぶなら?もご覧ください。

Q. カウハイドとステアハイドは何が違うのですか?

カウは生後2年以上の雌牛、ステアは去勢した雄牛です。日本タンナーズ協会は、カウはステアより柔らかいと説明しています。ただし完成品の着心地は厚みや仕上げの影響が大きいため、名前だけで判断しないようにしましょう。

Q. 馬革の革ジャンはコードバンですか?

一般的な馬革の革ジャンは、コードバンではありません。コードバンは馬のお尻の内側にある特別な層を磨いた革で、取れる量が限られ、主に靴やベルト、かばんなどに使われます。

まとめ

革ジャンの魅力は、同じデザインでも使われる革によって表情が変わるところにあります。シープスキン、ホースハイド、ステアハイドにはそれぞれ異なる特徴があり、さらに鞣しや仕上げによって個性が生まれます。

Leather Archiveでは、これから革の種類だけでなく、鞣し、製法、ブランド、モデル、そして着込んだ後の経年変化まで、革ジャンを深く知るための情報を記録していきます。

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次に読む: 革ジャンの「なめし」とは? 革ジャンの経年変化とは? Schottワンスター4モデルの革の違い 革ジャンの手入れ方法

参考:日本タンナーズ協会|皮の構造と成分 日本タンナーズ協会|原皮の種類と用途 東京都立皮革技術センター|革のQ&A Lewis Leathers公式|Custom Ordering Lewis Leathers日本公式 Langlitz Leathers公式FAQ Wikipedia|Shell cordovan(2026年11月確認)

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