この記事は、革の厚みと重さを数字で比べる応用編です。シープ・ホース・ステアの基本的な違いは革ジャンの革の種類を徹底解説からどうぞ。
革ジャンの素材を見ると、シープスキン、ホースハイド、ステアハイドなどの名前が出てきます。これは主に原皮の種類を表す言葉ですが、それだけで革の性質をすべて判断できるわけではありません。着心地を大きく左右するのが「厚み」です。この記事では、ブランドが公式に出している数字を集め、厚みの読み方と、厚みがなぜ着心地や丈夫さに関わるのかを整理します。
この記事の要点
- ルイスレザーのカスタムオーダー用の革は1.1〜1.3mm(植物タンニンなめし牛革のみ1.0〜1.1mm)
- ラングリッツの牛革はライト2.5〜3oz、ミディアム3〜3.5oz。3ozで約1.2mm
- 米国のoz表記は「1oz=約0.4mm」で換算できる
- 革を薄く漉くと、その分強度は下がる。厚みは丈夫さとなじみにくさの両方に効く
- 同じ厚みでも、動物・なめし・仕上げ・型紙で着心地は変わる。最後は試着で確かめる
シープスキン
羊革は比較的軽く柔らかな革に仕上げられるものが多く、しなやかな着心地を求める革ジャンで使われます。ただし厚みや仕上げによって質感は大きく変わります。ルイスレザーは、自社の羊革は牛革や馬革より柔らかい一方、擦れへの強さは劣ると説明しています。
ホースハイド
馬革は部位や仕上げによって独特の張りや表情を持つものがあります。革ジャンでは、着用によるシワや艶などの変化を楽しむ素材として扱われることがあります。
ステアハイド
ステアハイドは成牛革の一種で、厚みや強度を持たせやすく、革ジャンにも広く使われます。厚い革ではしっかりした着用感が出る一方、なめしや仕上げによって柔らかさは変わります。
厚みが着心地と丈夫さに効く仕組み
革はコラーゲン繊維が絡み合ってできています。日本タンナーズ協会によると、表側の「乳頭層」は繊維が密に絡み、内側の「網状層」は太い繊維の束がゆるやかに絡んで、柔らかさや風合いのもとになっています。
製革の途中では、肉面を削って厚みをそろえる工程(シェービング)や、層に分ける「漉き」が行われます。東京都立皮革技術センターは、網状層を薄く漉くとその分強度が下がると説明しています。つまり厚い革ほど繊維の量が多く、丈夫で擦れに強い一方、曲げるときの抵抗も大きくなり、なじむまでに時間がかかります。ラングリッツが「ミディアムウェイトの牛革は柔らかくなるまで数か月かかる」と書いているのは、この性質の表れです。
見るべきなのは「名前の先」
- 革の厚み
- 革の部位
- なめし方法
- 染色と仕上げ
- 表面の状態
- 実際の手触りと張り
例えば「ホースハイド」という表示だけでは、薄く柔らかな革なのか、張りの強い革なのかまでは分かりません。素材名を入口にして、実際の革の状態まで確認することが大切です。
ブランド公式の数字で見る、革の厚みと重さ
「厚い」「薄い」を数字でつかむために、各ブランドが公式サイトで公開している情報を集めました。
| ブランド | 革 | 公式の数字・説明 |
|---|---|---|
| ルイスレザー | 馬革・牛革・羊革 | カスタムオーダーの革はどれも1.1〜1.3mm。植物タンニンなめしの牛革だけ1.0〜1.1mm |
| ルイスレザー(日本) | 羊革 | 色あせや水を吸いやすいため手入れが必要。バイクに乗るなら牛革か馬革をすすめる |
| ラングリッツ | 牛革 | ライトは2.5〜3oz、ミディアムは3〜3.5oz。3ozのミディアム牛革で約1.2mm。柔らかくなるまで数か月かかる |
| ラングリッツ | 山羊革(ゴート) | 生産の半分以上。牛革より薄くしなやかで、丈夫で水に強く、最初からなじむ |
| Schott | 羊革(217US) | 薄くしなやかで軽い一方、牛革などと比べると引っ張り強度はやや劣る |
| Schott | 牛革(613) | 重量のあるステアハイドをクロムなめし・ドラム染めで使用 |
| エアロレザー | 馬革など | 縫い代を薄く削る「漉き」をしない作り |
「oz(オンス)」の読み方:米国のブランドは、革の厚さを1平方フィートあたりの重さ(oz)で表すことがあります。一般に1ozは約0.4mmが目安で、ラングリッツの「3oz=約1.2mm」とも合います。米国の商品ページでozが書かれていたら、0.4を掛けるとおおよその厚みが分かります。
| oz表記 | おおよその厚み | 目安 |
|---|---|---|
| 2.5oz | 約1.0mm | ラングリッツのライトウェイトの下限 |
| 3oz | 約1.2mm | ラングリッツの公式値。ルイスレザーの1.1〜1.3mmとほぼ同じ帯 |
| 3.5oz | 約1.4mm | ラングリッツのミディアムウェイトの上限 |
| 4oz | 約1.6mm | 上の帯よりさらに厚い革 |
同じ「牛革」でも、ラングリッツは「柔らかくなるまで数か月」、ルイスレザーは「バイクには牛革か馬革」と書いています。素材名だけでなく、厚みと作り手の説明まで読むと、着心地の想像がしやすくなります。各ブランドの詳しい説明はルイスレザーのカスタムオーダー、ラングリッツの価格と作り方、Schott 217USの検証で紹介しています。
参考:Lewis Leathers公式 / Lewis Leathers日本公式 / Langlitz公式FAQ / Schott NYC公式(2026年10月時点)
「重さ」は厚みだけでは決まらない
ジャケット全体の重さは、革の厚みに加えて、使う革の面積、裏地や中綿、ファスナーなど金具の量で決まります。日本タンナーズ協会によると、革は国内ではデシ(10cm×10cm)、海外向けではスクエアフィートという面積の単位で取引されます。着丈が長いモデル、ベルトやパッドが付くモデルほど面積が増え、同じ革でも重くなります。商品ページに製品重量が書かれていれば、それがいちばん確かな比較材料です。
革の種類だけでは、完成したジャケットの硬さは決まらない
Lewis Leathersの素材案内のように、メーカーが厚みやなめしを説明している資料を読むと、動物名だけの比較より具体的に検討できます。同じ牛革でも、製品ごとに仕上げや厚みが異なります。
比較するときは、動物の種類、なめし、表面の仕上げ、厚み、裏地を一緒に確認します。さらに型紙や縫製によっても曲げやすさが変わるため、「馬革だから必ず硬い」「羊革なら必ず軽い」と一律に順位をつけない方が実物に近い判断ができます。
試着では重量感だけでなく、肘を曲げたときの抵抗、襟の当たり、座ったときの裾の動きを確かめます。革見本の手触りが好みでも、完成品の着心地は別に評価しましょう。
よくある質問
Q. 厚い革ほど高品質ですか?
一概には言えません。厚い革は丈夫で擦れに強い反面、重く、なじむまで時間がかかります。ルイスレザーでも、いちばん高価な植物タンニンなめし牛革は1.0〜1.1mmと、ほかの革より薄めです。用途と好みに合った厚みを選ぶのが大切です。
Q. 日本のブランドの商品ページに厚みが書いていないときは?
販売店に問い合わせるか、製品重量とサイズを手がかりにします。同じ店が扱う別モデルと比べて「どちらが厚いか」を聞くと、感覚の差を埋めやすくなります。
Q. バイクに乗るなら何mmくらいが目安ですか?
この記事で集めた公式の数字では、バイク向けの定番ブランドの革は1.1〜1.3mm(約3oz前後)の帯に多く集まっています。ただし革ジャンは安全装備としての規格品ではないため、転倒時の保護を重視するなら、プロテクター付きのライディングウェアもあわせて検討してください。
まとめ
革ジャンの素材選びでは、シープ、ホース、ステアという分類を知ることが第一歩です。そのうえで、厚み、なめし、仕上げ、実際の質感まで見ると、一着ごとの違いが分かるようになります。数字は比較の手がかりとして使い、最後は試着で自分の体に合うかを確かめましょう。
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次に読む: 革ジャンの革の種類を徹底解説 革ジャンの「なめし」とは? Schottワンスター4モデルの革の違い 革ジャンはどう作られる?
参考:日本タンナーズ協会|皮の構造と成分 日本タンナーズ協会|皮から革になるまで 東京都立皮革技術センター|革のQ&A Aero Leather Clothing公式(2026年11月確認)

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