BUCOを代表するヴィンテージモデルのひとつがJH-1です。今回の記事では、ヴィンテージの実物とTHE REAL McCOY’Sによる復刻モデルを比較しながら、JH-1の歴史とディテールを見ていきます。
THE REAL McCOY’S公式では、JH-1をBUCOが1947年上半期に初めて市場投入したとされるライダースジャケットとして紹介しています。また、J-24につながる前段階のモデルとして位置づけています。
この記事の要点
- BUCOはデトロイトのジョセフ・ビューゲルアイゼンの会社。広告では1933年創業とされ、バイク用品から始まり、1947年に服の分野へ進出した
- JH-1はBUCOが最初に出したモーターサイクルジャケット。1953年に生まれたJ-24より前のモデルで、Dポケットはない
- 特徴は馬革、斜めのフロントジップ、腰のスナップ留めベルト、ジップ付きの袖口とポケット
- THE REAL McCOY’Sは何度か品番を変えて復刻している。実物と比べるときは「どの年の復刻か」と「実物の推定年代」を分けて考える

BUCOとはどんな会社だったのか
BUCOは、アメリカ・ミシガン州デトロイトのジョセフ・ビューゲルアイゼン(Joseph Buegeleisen)が興した会社です。社名は、創業者の名字の最初の音「Bu」と、会社を意味する「Co.」を組み合わせたものとされています。ジャケットのタグに「Joseph Buegeleisen Co.」と入っているのはこのためです。
ジョセフはもともと飛行用ゴーグルの営業マンで、1930年ごろにデトロイトへ移ったと伝えられています。会社の広告では1933年創業とされていますが、当時の市の住所録に会社名が載るのは1937年からという調査もあり、創業年には少し幅があります。最初はバイク用の風防やマフラー、サドルバッグなどの用品を作り、1940年から「Buco」の名前を使い始めました。
服の分野へ本格的に進んだのは戦後の1947年です。1940〜50年代の馬革のライダースは今もこの会社の代表作とされ、自社工場で作られていました。1966年に会社はアメリカン・セーフティ・エクイップメント社へ売却され、その後のジャケットは日本、スペイン、イギリスなどへ生産が移っていきます。
| 年 | 出来事 |
|---|---|
| 1933年ごろ | デトロイトで創業(広告上の年。住所録への掲載は1937年から) |
| 1940年 | 「Buco」の名前を使い始める |
| 1947年 | 服の分野へ進出。最初のモーターサイクルジャケットJH-1が登場 |
| 1952年ごろ | デトロイト郊外のエイトマイル・ロードの大きな工場へ移る |
| 1953年 | Dポケットのダブルライダース J-24が生まれる |
| 1966年 | アメリカン・セーフティ・エクイップメント社へ売却 |
BUCO JH-1とは?
JH-1は、BUCOがバイク用品の会社からライディングウェアの会社へと広がっていく、その最初の一着です。複数の復刻メーカーが、JH-1を「BUCOが最初に作ったモーターサイクルジャケット」と説明しています。のちのJ-24やJ-100ほど有名ではありませんが、BUCOの評判をつくったジャケットとして、コレクターの間では大事にされているモデルです。
デザインはJ-24ほど複雑ではなく、ダブルブレストのスポーツジャケットを思わせる比較的シンプルな構成。それだけに、革やファスナー、スナップなどのディテールが目立つモデルです。
- 革:馬革(ホースハイド)
- 前:斜めに走るフロントジッパー
- 腰:スナップで締め具合を調整するベルト。全周ベルトではなく、外れにくい作りになっている
- ポケット:ジップ付きのポケット。J-24の象徴であるDポケットはない
- 袖口:ジッパーで閉じる

JH-1とJ-24の関係
JH-1を知るうえで重要なのがJ-24との関係です。THE REAL McCOY’SはJH-1を、ライディングに特化した機能性を持つJ-24の「前日譚」のようなモデルとして説明しています。JH-1が1947年、J-24が1953年。この6年の間に、BUCOのライダースはDポケットやベルトを備えた、より装備の多い形へ進んでいきます。
| 項目 | JH-1 | J-24 |
|---|---|---|
| 登場 | 1947年(BUCO最初のモーターサイクルジャケット) | 1953年 |
| 前の形 | 斜めのフロントジップ | 斜めのフロントジップのダブルライダース |
| 象徴的なディテール | 腰のスナップ留めベルト | Dポケット |
| ポケット | ジップ付きポケット(Dポケットなし) | Dポケット、コインポケット、マップポケットなど |
| 復刻の裏地(THE REAL McCOY’S) | ウールのチェック | ナイロンキルト |
| 印象 | シンプルで落ち着いた雰囲気 | 装備が多く、華やか |
J-24について詳しくはBUCO J-24の記事で比較しています。

ヴィンテージ実物を見るポイント
- フロントのダブルブレスト構造
- 胸・袖・サイドに配置されたファスナー
- 4つのスナップボタン
- 短丈のモーターサイクルジャケットらしいシルエット
- ヴィンテージならではの革の質感と経年変化
- 年代によるファスナーやパーツ仕様の違い
タグも大事な手がかりです。襟元には「Buco」の名前とサイズ、別のタグには「Joseph Buegeleisen Co.」の社名が入っています。ただし、タグだけで製造年を決めることはできません。ファスナーの刻印や裏地、スナップの形と合わせて考えるのが基本です。


THE REAL McCOY’Sの復刻モデル
現在のTHE REAL McCOY’SのJH-1は、ヴィンテージの雰囲気を再現しながら、素材やパーツまで年代感を意識して作られています。公式仕様では、ホースハイドをタンニン鞣しし、ピグメントフィニッシュを施しています。
THE REAL McCOY’Sは、これまでにもJH-1を何度か作っています。販売店の説明では、品番BJ18001は新喜皮革のタンニン鞣し馬革にアニリン仕上げ、ウール100%の赤黒チェックの裏地、1950年代のタロンジッパー、ベルトにはDOTのスナップという仕様でした。公式サイトには2021年のブラウン(BJ21001)も載っています。同じ「JH-1」でも、品番によって革の仕上げや色が違うことを覚えておきましょう。

復刻版のディテール
| 項目 | THE REAL McCOY’S JH-1 |
|---|---|
| レザー | ホースハイド/タンニン鞣し/ピグメントフィニッシュ |
| ライニング | プレードウール |
| フロントファスナー | 50sスクエア・ブラス・コットンテープ |
| 袖口・サイドファスナー | 50s TALON・ブラス・コットンテープ |
| 胸ファスナー | 40s丸型・ブラス・コットンテープ |
| スナップ | DOT社プル式 |
| 縫製糸 | カタン糸(綿糸) |
ファスナーを「フロントは50年代の四角い引き手、胸は40年代の丸い引き手」と部位ごとに使い分けているのが、この復刻のこだわりです。BUCOの実物でも年代によってパーツが変わるため、復刻では「どの時期の個体を手本にしたか」がパーツ選びに表れます。
なお、JH-1を復刻しているのはTHE REAL McCOY’Sだけではありません。イギリスのBill Kelsoも、1947年のJH-1をもとにした馬革のジャケットを受注で作っています。

実物と復刻、どこを見るべきか
ヴィンテージ実物と復刻を比較するときは、単に「似ているか」だけではなく、革の質感、パーツの形、ファスナーの仕様、ライニング、縫製、そして着用時のシルエットを見ることが重要です。

特にJH-1の場合、復刻版はホースハイドや年代を意識したファスナーなどを採用しており、細かなパーツまでヴィンテージの雰囲気を追求しています。
| 見る場所 | ヴィンテージ実物 | 復刻(THE REAL McCOY’S) |
|---|---|---|
| 革 | 長年の着用でシワや色の変化がある。状態は個体ごとに大きく違う | 新品から自分で育てる。馬革をタンニンで鞣した仕様 |
| ファスナー | 年代や修理歴で種類が変わる。交換されていることもある | 部位ごとに年代を意識したパーツを使い分け |
| 裏地 | 交換されていることがある | 品番ごとに決まった裏地 |
| サイズ | 当時の表記。今の同じ数字と着心地が合うとは限らない | サイズを選んで買える |
| 入手 | 中古市場のみ。出会いしだい | 新品(在庫や受注のタイミングしだい) |

ヴィンテージと復刻の違い
ヴィンテージ実物の魅力は、実際に長い年月を経た革の表情、個体差、当時のパーツが残っていることです。一方、復刻モデルは、新品の状態から着用を始められ、サイズや素材を選びやすいことに加え、現代の品質管理のもとで当時のディテールを楽しめる点に特徴があります。

JH-1を動画で実物比較
ヴィンテージ実物とTHE REAL McCOY’S復刻版を実際に見比べながら、JH-1のディテールを詳しく紹介しています。
JH-1の実物と復刻を同じ基準で見ない
THE REAL McCOY’SのJH-1公式製品ページは、現代の復刻品の仕様を調べる資料です。掲載された素材やパーツを、そのまま1940年代のすべてのBUCO実物へ当てはめることはできません。復刻の品番と、ヴィンテージ個体の推定年代を分けて確認しましょう。
実物を購入する場合は、ラベルやジッパーだけで断定せず、裏地の交換・袖丈の修正・革の補修歴も販売店に確認します。パーツ交換があると、見た目の特徴と製造時の仕様が一致しない場合があります。


日常着として選ぶなら、復刻は新品時の仕様と販売条件、実物は状態と修理可能性を比較します。希少性に払う金額と、着用のために払う金額を分けて考えると、予算に合う選択がしやすくなります。

よくある質問
Q. JH-1とJ-24、初めての1着ならどちらがいいですか?
Dポケットやベルトなど「BUCOらしい装備」を楽しみたいならJ-24、すっきりした見た目で普段の服に合わせやすいものを選ぶならJH-1が候補になります。どちらも馬革なので、最初は硬さと重さがあります。革の種類の記事も参考にしてください。
Q. タグに「Joseph Buegeleisen Co.」とあれば本物ですか?
BUCOの社名が入ったタグは手がかりのひとつですが、それだけで年代や真贋は決められません。ジッパーの刻印、スナップ、裏地、縫い方など、いくつかの点を合わせて確認しましょう。中古で買うときの見方は中古革ジャンの選び方にまとめています。
Q. 復刻の品番が違うと何が変わりますか?
THE REAL McCOY’SのJH-1は、品番によって革の仕上げ(アニリンかピグメントか)、色、パーツが変わることがあります。中古で復刻を探すときは、品番を確かめて、その年の仕様と照らし合わせるのが確実です。
まとめ
BUCO JH-1は、戦後のBUCOがライダースジャケットへ展開していく初期を知るうえで重要なモデルです。1947年に生まれたこの一着から、1953年のJ-24へと続く流れが始まりました。THE REAL McCOY’Sは、そのJH-1をホースハイドや年代を意識したファスナー、ライニングなどによって復刻しています。実物を選ぶなら個体の状態と修理歴を、復刻を選ぶなら品番ごとの仕様を、それぞれ確かめてから決めるのがおすすめです。
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関連: BUCO J-24|1950年代ヴィンテージとTHE REAL McCOY’Sを徹底比較 革ジャンの選び方 1930年代〜1950年代のレザーベスト 革ジャンの経年変化とは? 中古革ジャンの選び方
参考:THE REAL McCOY’S|BUCO THE REAL McCOY’S JH-1公式製品ページ Standard & Strange|Buco JH-1 Bill Kelso|BUCO JH-1 The Origins of Buco

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